マネジャー やってみて!

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どれほどの才能に満ちあふれていても、誰にも負けないほどの実績を誇ったとしても、リーダーとして人を引っ張っていくことは、常に学習と研鑽の連続であり、艱難辛苦(かんなんしんく)の末にもたらされるものです。
しかし、昇進というものは、ある日突然に、これまでの実績のご褒美としてやってきます。「期待しているからね!」という言葉が残され、今まで同僚だった者がその日から自分の部下となるのです。新しくリーダーになった者は、その良い成績の故にリーダーとなり、部下となった者は、悪い成績が故に、部下となります。同僚であったときは、上司や会社を批判していればよく、馬鹿を言い合っているだけで、同僚の成績など気にとめる必要もありませんでした。ただ、その日を境に、新リーダーの成績は、成績の上がらない部下の出来不出来によることとなるのです。
昇進することを名誉と思うとともに、部下に左右されることを理不尽と考える者も多くいます。そして、新米マネジャーになってみて初めて解ることがあります。
今回は、新米マネジャーの心得です。
(way to the Top 2015年12月号から)

マネジャー不適応
業績と資質を認められて昇格した優秀な人物が、管理職という役割に上手く順応できなければ、組織内で無能という烙印を押されます。その後、その会社でその優れた才能をスペシャリストとして発揮してくれれば良いのですが、最悪の場合には退職といったことになり、組織は人的資本の面でも、財務の面でも多大な損失を被ります。優秀な人材が組織から流出する。新たな人材の選出の為の無駄な時間、もし管理職としての能力を上手く引き出せなかっただけだとしたら、会社にとっては二重の損失です。
また、新米管理職が上手く役割を果たせなかったとしても、その人物の能力の欠如といえるのでしょうか。多くの場合、そうではないように感じます。営業成績がどんなに優秀であろうが、顧客から絶大な信頼を得ている営業マンであろうが、それだけの能力があれば、「管理職なんてできるよ。」といったノリで、権限も与えられず、新米管理者の教育もされずに、見本とするべき人もいない状態で、リーダーとなることが、どれほど難しいかわかるでしょうか。
例えば、子供が生まれれば、母親なり父親となり、その瞬間から、何の経験が無くても、子育てができて当然と思われることと同じです。親としての役割を果たせず、無能な親として親という役割から外されることはありません。時間を掛けて、親と子それぞれが学習することで親となり子となるのです。しかし、組織では簡単に無能と判断されます。
もちろん、初めての管理職となる者の多くは、管理職の役割について多くの誤解を持っています。

マネジャーの心得が身につかない理由
まず、リーダーとして成功するために必要なスキルや手法が、かつて一社員だったときに必要とされたものとは全くの別物であることを知る必要があります。
優秀であればあるほど、ミスを犯した経験が乏しいため、全く新しい体験となります。ミスを繰り返すストレスに満ちた過程で、「いま、まさに学習しているのだ!」と気づく新米マネジャーはいません。

新米マネジャーが抱きがちな5つの誤解
誤解1  管理職の権限は絶大である。
マネジャーになったことで何でもできる様になったと感じます。会社にとって最も有益であろうと自ら信じるところを実践できる自由と自立性が拡大すると思い込んでしまいます。つまり、もはや「他人の理不尽な要求に縛られない。」と考えています。
ところが、新米マネジャーには、上司や同僚、部下のみならず、社外からも相矛盾する要求が容赦なく突きつけられ、その結果、これらの人間関係のせいで身動きができなくなってしまうのです。
例えば、初めての部下を与えられた、新任マネジャーは「自分の将来がこの部下たちの働きにかかっていると思うと釈然としません。」と考える者もいます。これまでは、自分が努力をすることで、実績を勝ち取ってきたのに今日からは、自分より未熟な部下に自分の成績が左右されてしまうのです。
新米マネジャーがリーダーシップを発揮するためには、権力者になったなどという幻想はさっさと捨て、部下や上司、同僚と互いに交渉しながら頼りあっていかねばならない現実を受け入れるしかありません。
つまり、リーダーシップを発揮するためには、自分の部下を管理するだけでは足りず、自分のチームが置かれている環境も含めて管理する必要があるのです。そのチームを支えるチーム外部のキーパーソンたちを見つけ、その人物と効果的な関係を築かない限り、チームが仕事をこなすことはできません。社内人脈をなおざりにして目の前の仕事、すなわち一番身近にいる部下の指揮に没頭していては成績を上げることはできません。
新米マネジャーはたいてい、社内でも下っ端の部署を率いていますから、より強い部署との交渉に苦労することになります。

誤解2 管理職の権威はその地位から生まれる。
新米マネジャーは、たとえ周囲に依存しなければならないとはいえ、それなりの権力はあります。
しかし、それが管理者の地位により公式な権威から生まれるのだと勘違いしていることです。その結果多くのマネジャーは、部門の管理をする際、自分で手を出して独裁的に振る舞うことになります。与えられた権力を行使することが、成果を上げるために最も効果的であると考えてしまうからです。
例えば、上意下達の命令に部下たちがいつも従うとは限りません。それどころか、優秀な部下ほど、得てして従順ではないのです。権威は、まず部下や同僚、そして上司からの信頼を勝ち得ることでついてくるものなのです。
部下たちは新しい上司の真意を探ろうと、その一語一句、そして一挙手一投足に注意を払っています。その様な状況下で、細かいことにまで口出しをして、支配欲に駆られた、およそ尊敬に値しない人物にみえてしまっては、信頼を勝ち取ることは不可能です。

誤解3  部下を統制しなければならない。
権威に頼った方法では、偽りの勝利しか得られません。なぜなら、権威による服従が自発的なやる気に勝ることはないからです。やる気が損なわれれば、その持てる力を発揮しようとはしません。

誤解4 部下1人1人と良好な人間関係を築かなければならない。
様々な関係者から信用を勝ち取り、自身の影響力を広げ、周囲と期待し合う関係を築いていく必要があります。この目標は、生産的な人間関係を築くことで大概達成できます。しかし、新米マネジャーの最終目標は、チーム全体の力を最大化する方法を見つけることであって、一対一の個人的な関係を重視しすぎると、チーム全体に影響が及びかねません。
メンバー個人の業績ばかりに目がいき、チームで議論し、問題解決や原因の究明に当たることなど考えもしません。最悪なのは、特定の部下、たいてい最も協力的に振る舞う部下と密着しすぎるマネジャーは、チーム全体に影響を及ぼすような案件でも、一部の部下とだけ相談して処理しようとしてしますます。その結果、限られた情報に基づいて意思決定をすることとなります。上手くいっている間は問題が表面化しませんが、一つ間違えれば、あっという間にチームが崩壊することになります。

誤解5  何よりも円滑な業務運営を心がける。
新米マネジャーは、現状を維持するだけでも、自分の時間とエネルギーの全てを傾けなければなりません。それに加えて、チームの業績をより向上させる改革案を示し、それを実行する責任を負っていることも自覚しなければなりません。しかし、その様な改革を実現するためには大概、自分の職務権限を越えるプロセスや組織構造に異を唱える必要があります。
ほとんどのマネジャーは、自分たちを組織改革の主体ではなく対象であるとみなしています。上から指示された改革プランに従うだけで改革者としての自覚に欠けているのです。ヒエラルキーに従った志向と権威へのこだわりのせいで、自分の責任をあまりにも狭く定義してしまいます。その結果、チームが失敗した場合、その責任を、制度上の不備や経営陣に転嫁するか、誰かが問題を解決してくれるだろうと、他力本願になりがちです。
視野を広げることができれば、新米マネジャー本人だけではなく、会社にとっても有益です。

上司が新米マネジャーの不安を理解する必要性
新米マネジャーは、新たな役割を全うしようと悪戦苦闘する中、孤独感に苛まれます。にもかかわらず、誰かに助けを求めることをあえて拒みます。
これは、「人の上に立つ人間は何でも知っていなければならず、従って、助けを請うなど、自ら不適格を認めることに他ならない。」という誤解から生まれます。
新米マネジャーは直属の上司のことを、味方ではなく脅威と考えてしまい、何でも独力で解決しようとします。本当は助けてほしくても、ミスや失敗への罰を恐れるあまり、未然に防いでくれるかもしれない救いの手に背を向けてしまうのです。

経営者として、上司として、新任マネジャーが成功するかどうかは重大な問題です。期待が高ければ、高いほど、失敗したときの影響は計り知れません。細心の注意で、見守り、導く必要がありますね。

参考文献 Diamondハーバードビジネスレビュー編集部, 昇進者の心得 : 新任マネジャーの将来を左右する重要課題. ダイヤモンド社, 2009.